作品情報
スレッドタイトル | 妹「今日からお兄ちゃんは私の奴隷だからね」 |
作者 | ID:sw1hBYuDO |
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文字数 | 約35,350文字 |
※アイキャッチ及び作品情報のイラストは当サイトで用意したイメージ画像です
作品内容
まず妹の紹介をすると妹は俺と一つ年下の高校二年生で、俺は三年生の受験生になるのだが、妹は部活動で帰る時間が俺より遅くなるため、そんなときは何故か妹が妹であることを忘れてしまうもので、そうなると可愛い女子高生と一つ屋根の下に住んでいると言う事実がそこにはあり俺は不在中の妹の部屋に忍び込み、妹の枕やパジャマの匂いを嗅いでしまうのが日課になりつつある初夏のある日、そのときも俺は俺以外に誰もいない妹の部屋でズボンを脱ぎ下半身裸になりタンスから妹の下着を引っ張り出してショーツを鼻に押し当てながらもう一つ取り出したショーツでモノを包みオナニーを始めようとしたのだが、部屋に何者かが入ってくる気配を感じたのだ。
「それって、私の下着だよね? お兄ちゃん」
と声を掛けられた。
俺は、ショーツを顔から恐る恐る離し、ドアを方角を見る。
しまった。
「佐理……」
妹の名前を、小声に出す。
我が家の長女にして俺の妹、佐理。
俺とは同じ高校に通い、テニス部に所属。
起伏の少ない細い体つきで、肌には気を使ってるらしく色白だった。
その佐理は、長い髪の毛をかき上げて、大きな目をぱちくりとさせ、
「なに、してんの?」
「…………」
ショーツを床に手放し起き上がり床に座り直したところで何も言えない。
心臓がまた違う理由でドクドクし始めた。
最悪だ。
妹の不在中に、勝手に部屋に入り勝手に下着をあさりチンポ丸出しにしてオナニーする兄。
あれ? そうだ、妹は部活中のはずじゃ……
「なんで、こんなに早く……」
やっと言えた一言。
「来週から定期考査だから。今日から部活は休止だよ」
ああ、そんなのあったっけ。
「で、なに? これは」
佐理は目線だけ下に向け俺を見た。
クシャクシャになった佐理の下着。
最後の抵抗として俺は自分のモノを両手で隠した。
「……ごめんなさい」
問い詰められたところでこんなことしか言えない。
「だからなにしてたのかって聞いてんだよ!!」
佐理はスクールバッグを床に落として足で正座していた俺の胸板を蹴飛ばした。
俺は抵抗出来ずにそのまま床に倒れた。
佐理はそんな俺の脇腹に蹴りを入れ横向きにさせる。
その痛みで体をくの字にさせる。
ほんの少しの間があった。
自分の手で上半身を抱えながら見上げた。
佐理はまさに汚物を見るような目で俺を見下ろしていた。
「さ、なにをいていたか言ってごらん」
俺は再び起き上がる動作をしてその場にひざまづく。
唾を飲み込んで白状する。
「佐理の……でしてました」
「なにを?」
「その……、オナニーを……」
恥ずかしさで妹を見れずに、ずっとうつむいて床の木の目を見ていた。
「もう一回大きな声で言えるかなあ?」
俺の頭上で佐理は意地悪そうに言った。
俺はたぶん言いなりになるしかなかっただろう。
「さ、佐理の下着でオナニーをしていまいた!」
それから、ポロリン、と、効果音。
佐理は携帯で俺の自白を撮っていた。
「ふーん、そうなんだー」
佐理は笑っていた。
「妹の下着でオナニーするなんて変態さんだね、お兄ちゃん」
屈辱、羞恥。
そのままで無言がしばらく続いた。
「ほら、もう帰っていいよ」
佐理は毅然と、悠然と。
「私のものは私が片付けるから。パンツはちゃんと穿いて行ってね」
俺はもういち早くこの状況から抜け出したくて、自分が情けなさ過ぎて。
自分のパンツとズボンを手に取るとそれを穿きもせずに下半身裸のまま一目散に逃げ出した。
佐理は俺からとんでもないものを盗んでいきました。
それは俺の心、なんかではなくて俺の携帯でした。
携帯はいつもズボンのポケットに入れている。
おそらく俺の「行為」中にポケットからすり落ちたか、佐理がこっそりズボンから抜き盗ったか。
不幸なことに佐理の部屋から俺の部屋までの廊下には落ちていなかった。
だから、
俺は再び妹の部屋に入るしかなかった。
しかし今はあそこには主がいる。
だから、
あのあと、俺は妹の部屋のドアをノックするしかなかった。
コンコン。
「どうぞ」
まるで待ち構えていたかのように、返事が来た。
ドアを開けて部屋に入る。
佐理はパジャマ姿だった。
勉強机に向かいイスに座っている。
ちょうど俺の携帯を持っていた。
やっぱりこいつだったか。
「それ、返して欲しいんだけど」
「いやだよ」
きっぱりと佐理は言った。
「いやだってそれは俺のだろ」
「じゃあさ」
佐理は一段落置き、
また意地悪そうな声で、顔で。
「返して欲しかったらここで裸になってよ」
「は!? そんなのできる訳ないじゃんか」
「そう。だったらお兄ちゃんの好きにするまでだけど」
そう言って佐理は俺の携帯をカチカチと操作する。
『さ、佐理の下着でオナニーをしていまいた!』
携帯のスピーカーから流れる俺の声。
録音された音声だからよく分からないけどたぶん俺の声。
あのときから撮影に使っていたのは俺の携帯だったのか。
なんて手際の良さ。
気付くべきだった。
俺の携帯は黒。
佐理の携帯はピンク。
「ほら、早く裸にならないとムービーをお兄ちゃんのお友達に送っちゃうよ」
やろうと思えば俺は力尽くで佐理は奪い返せるだろう。
佐理は細身の女子。
俺だって喧嘩が強い訳ではないが、それでも拳に訴えれば。
いや、だめだ。
そんなことを考えてはいけない。
妹には絶対に暴力を振らない。
俺はそう決めていた。
「脱げばいいんだな」
俺は上着を脱ぎ上半身を佐理に見せた。
ズボンも脱いでパンツ一枚になる。
「ほら、パンツもだよ」
佐理が急かす。
俺は言われるままにパンツも脱ぎ、ついに全裸になった。
また、密かに、両手で股間を隠す。
「なに恥ずかしがってんの。手をどけてみなさいよ」
佐理は机の中からガムテープを取り出した。
立ち上がり、俺の背後に立つ。
「動いちゃだめだよ」
ビリビリビリビリと音がして、手首が粘着性のあるものに接せられる。
ガムテープで両手首を後ろで巻き付けられた。
「これで身動き取れないね!」
そう言って佐理は俺の足元を蹴った。
両手が使えず、背中から床に倒れ込む俺。
立ち上がることも出来ない。
佐理はそのまま素足で俺の顔をグリグリと踏みつけた。
ふふふと笑いながら、鼻に足の裏を押し付けられる。
なんとか逃れようと顔を背ける。
足をばたばたさせる。
「足もじゃまだね。縛っちゃお」
妹は俺の足を押さえつけ、両足首もガムテープで固定させる。
俺は完全に身動きが取れなくなった。
床に仰向けになった俺を佐理は見下ろす。
「ほら、ここはどうなってるのかなあ」
そう言って今度は俺のあそこを足先でチョンといじる。
佐理に見下されて、俺のモノは完全に勃起していた。
「…………」
「どうなってるの、かな」
無言の俺にモノに足を乗せたまま体重をかけ始めた。
このままでは、潰れてしまう。
「ぼ、勃起してます……」
「そっかー」
モノから足を離す佐理。
「こんなことされておちんちんおっきくさせてるんだね。変態さんのお兄ちゃんは」
妹は俺の胸のところに座り込んだ。
両手で俺の顔を固定させる。
いやでも佐理と目が合った。
「全く幻滅だよ。お兄ちゃんが私のパンツでオナニーしてたなんて。ほんと信じらんない。こんなのが私の兄だなんてね!」
それだけ言って佐理は俺の顔に唾を吐きかける。
「もっと欲しいよね」
佐理は俺の口をこじ開けてその中に自分のよだれを垂らす。
生温かい液体が口内に入ってくるのが分かる。
佐理は後ろに手を伸ばし、手で俺のモノを握る。
つい、腰を動かしてしまう。
「ほら、どうして欲しいか言ってみなよ」
「どうして欲しいって……」
「なら今日はこのままテープを取るからお兄ちゃん帰ってもいいんだよ」
生殺しかよ。
「あの……イかせてください」
佐理は満足そうに笑った。
「いいよ」
佐理は姿勢をずらし手の平で俺の上半身を愛撫する。
さらに両乳首を指でつねった。
「あっ……」
思わず声が出てしまう。
佐理は俺に獲物を得たような顔を向ける。
「もっとおっきな声で鳴かないと気持ち良くしてあげないよー?」
「……んっ……あんっ……」
その声に応じて佐理は俺の体を手で撫で続けた。
佐理は俺の金玉を掴んで揉む。
陰茎の裏筋に指を合わせる。
しかし決してそれ以上に刺激を与えようとしない。
「た、頼む! もう、イかせてくれ」
「えー、もう? 変態さんはせっかちだね。しょうがないなあ」
佐理は俺の携帯を取り出した。
折りたたみ式だったので、一旦開くと、
「このままお兄ちゃんの携帯に電話かけたらどうなるかな」
パコンと、それで俺のモノを挟んだ。
佐理は自分の携帯を取り出して、俺の顔の上に座る。
佐理の小さなお尻が顔にのしかかる。
ずっしりと、パジャマ越しに、充満した妹の匂い。
プルルルと呼出音が聞こえ、俺の携帯が着信する。
ブー、ブーとバイブ機能が作動する。
「……はぁはぁ……ぁぅっ」
携帯の振動の刺激で俺は射精してしまった。
物凄い量の精液が陰茎から放出し、俺の腹にかかる。
佐理は俺の顔からどいた。
「私のパジャマにまでかかったじゃない」
パジャマには点々と濡れたような箇所があった。
妹は、脱ぎ捨てられていた俺の服で精液の処理を始めた。
「もう部屋に戻ってもいいよ」
「あの、ガムテープを……」
「なに言ってんの?」
佐理は振り向き床に横たわる俺に近づいた。
「今日はお兄ちゃんは一晩中このままなんだよ」
そう言ってドアを開けて体を蹴り飛ばす。
部屋から出されても佐理は足で俺の体を転がした。
俺は、妹のされるがままにイモムシのように廊下を渡り、部屋に帰るしかなかった。
深夜だから両親は眠っていた。
自分の部屋にたどり着く。
手足を縛られたままなんとかベッドの上に寝転ぶ。
「明日は私が起こしに来てあげるから学校の心配はしないでね」
あ、そうだと佐理はパジャマを脱いでショーツも脱ぐ。
脱いだショーツを俺の顔の上に広げる。
「そんなに私のパンツが好きならたっぷり味わわせてあげるね」
と、俺の口の中にショーツを突っ込んだ。
それだけで口が満杯になった。
乾いた布が俺の唾液を吸収するのが分かる。
佐理は俺の口もガムテープで閉じた。
そして俺の服一式と携帯を床に落とす。
「おやすみ」
と妹は、ニッコリして部屋の電気を消してドアを閉じた。
バタン。
真っ暗。
一日が終わって風呂場の脱衣所で服を脱ぎながら今日のことを思い出す。
佐理は本当に朝起こしにきた。
起こしに来たと言っても、昨晩は興奮と言うか全身縛られて下着を口に入れられたままで熟睡できる方がおかしいのだが、
空が明るくなっても目をつぶったままだった俺の部屋に佐理が入ってきた。
「おはよう」
妹はごく普通に朝の挨拶をして、
口に貼られたガムテープを遠慮なく一気に剥がした。
痛い。
口に詰められたショーツが取り出される。
続いて足首に巻かれたガムテープも剥がす(また一気にだったので、すね毛も一緒に抜けた)。
やっと解放されたと思った。
が、妹は一晩中俺の唾液を吸ってグチョグチョになったショーツを俺に穿かせ始めた。
「今日一日中これを穿いて過ごしてね」
俺の両足を掴みながらニッコリと。
「無理だっ、そんなの!」
早速自由になった口で逆らった。
そもそも、妹と俺とではヒップのサイズが当たり前に合わない。
半端に勃起した陰茎がショーツから飛び出して締めつけられる様が滑稽だし、
朝から濡れた下着、それも女性用下着で登校するのは有り得なかった。
「じゃあいいや」
と、俺の太ももをバチンと叩いて、
自分のピンクの携帯の出すと画面を俺に見せた。
再生されたのは、昨日のムービー。
俺のオナニーの自白動画。
「あんまり同じ手を使うのは好きじゃないけど」
俺の携帯からとっくに送信済みらしい。
「します。します。しますから手のガムテープも取ってください」
結局佐理の監視の下、妹の下着を穿いた上から学校の制服を着ることになった。
「あら、二人で学校に行くなんて珍しいわね」
玄関に並ぶ俺と佐理を見てそう母親は言った。
端から見ると一緒に通学する仲睦まじき兄妹。
実際佐理と学路を共にするのは中学校以来だった。
平和なものだ。
玄関を出て自転車のカゴにカバンを放り込む。
佐理と自転車を並べて登校した。
尻に濡れた下着が自転車のサドルとべったり貼り付く感覚が気持ち悪い。
学校に着くまでになんとかズボンの中で半乾きになったものの、未だに股間を締めつける布の感触が違和感だった。
「それじゃあ今日一日頑張りましょう」
そんなことを言って佐理とは廊下で別れ、
おい、あの子誰だよと通路にいた同学年の友人にからかわれ、
昨日のことなどなかった振りをして、
いつも通りのように、
俺は教室に入るのだった。
昼休みに佐理が俺の教室に来た。
佐理に誘われるがまま女子トイレ(三年生の)に向かわされ、個室に入らされズボンを脱ぐように命じられた。
「ちゃんと穿いてるんだね」
ベルトを外してズボンを膝までずり落とした俺を見て佐理は言う。
妹のショーツの中でモノは堅くなっていた。
午前の授業は勃起が収まらなかったので全く集中出来ないでいた。
先っぽはもう変色しかけ。
紫色。
佐理は突然俺の後ろに回りそのまま抱きついた。
ギュッと、俺の背中に体温を感じる。
首の後ろに吐息がかかる。
「おちんちんがイきたいイきたいって言ってるみたいだよ」
耳元でそう囁いて、
手をショーツの中に侵入させる。
俺の股間の中に。
佐理の右手がモノを掴んだ。
そのまま扱き始める。
俺は一分ほどで射精してしまった。
一日中勃起していた分、また量が多い。
ショーツの外にじわりと精液が染み出るのが分かる。
佐理は右手を股間から抜いて、
「あーあ、出しちゃったんだね」
精液まみれになった指を俺の口に差し込んだ。
苦い味覚が口腔内に広がる。
残ったのを俺の太ももになすりつけて、
「お兄ちゃんが出るときは気を付けた方がいいよ」
と、そう言い残し、佐理は女子トイレから出て行った。
それなら下級生が一人で三年生のトイレから出るのも変だろうと思いつつ、
俺はトイレットペーパーで自分の出したものを処理した。
精液でまた濡れた下着で午後を過ごさねばならなかった。
そう言う訳で夜、脱衣所で俺は佐理のものだったショーツを脱ぐ。
脱ぎながら、昨日今日とされたことを思い出す。
それだけでまた勃起してしまう。
本当に、ふ、と。
ある考えが俺の頭に浮かんで、それはすごく衝動的で、自分の中に巻き起こる感情を制止出来なくて、止める訳にはいかなくて、でも、認める訳にはいかなくて。
俺は、佐理にいじめられて嬉しかった。
もっと佐理にいじめられたいと思った。
思い始めた。
脱いだショーツを見る。
俺の唾液と、精液を吸い込んだショーツ。
これを洗濯機の中に入れてしまえば、明日には母親に洗濯され、清潔になり、母親に佐理のものと分けられ、佐理の元に返るだろう。
佐理はそれを見て、もう要らないと思いゴミ箱に捨てる。
それで終わってしまう。
全てが。
また、いつも通りの日常に戻る。
俺と佐理は口を聞くこともなく、登下校も二人バラバラで、突然教室に押しかけてくることもない。
そんな日常に、戻る。
元通り。
嫌だった。
だから。
コンコン、と。
妹の部屋をノックする。
脱衣所から直行した。
俺はショーツを穿き直し、妹の部屋に入った。
妹は勉強中だったらしく机に向かっていた。
ホットパンツに、キャミソールと言う格好。
「……どうしたの?」
兄の訪問に、兄の姿に、さすがにびっくりした風な妹。
イスを引いて、正面から俺を見る。
俺はショーツの中で膨張しかけの股間を隠すこと無く、部屋を歩き、そして妹の前にひざまずく。
そのまま土下座をした。
「お願いします。俺を佐理の奴隷にしてください」
そんなことを、真面目に。
実の妹、佐理に、ほぼ全裸で。
俺の自らの宣言を受けた佐理。
佐理。
「でも……私たちって兄妹でしょ?」
「…………」
「そっか、お兄ちゃんは本当に本当の変態になっちゃったんだね」
俺は、動かない。
首をうなだれたまま、土下座を崩さない。
「…………」
「ユキ、顔をあげて」
佐理は、俺の名前を呼んだ。
「お兄ちゃん」ではなく、ユキと。
俺は顔をあげる。
佐理は、すらりと足を差し出した。
「舐めて」
俺はゆっくりと、佐理の足を口に付けた。
足の指を一本一本這いつくばって舌で舐める。
舌を伸ばして、指の間と、指の爪も。
ぴったりと唇を付けて丁寧に舐めた。
佐理は足を少しだけ浮かせる。
俺は両手で足を支え、足の裏も舐めた。
舌を広げて全体をなでるように。
23cmしかない小さめの足。
足の汗を吸いながら。
ペロペロと。
酸っぱい味がした。
甘酸っぱい。
口を足から離される。
佐理はイスに座った上から俺を見下げ、ペッと床に唾を吐いた。
俺は舌でその唾を舐めとった。
さらにその場を這い佐理の足元の一帯の床もきれいに舐めた。
佐理のと思われる長い髪の毛が落ちていたから、舌で吸い取り飲み込んだ。
俺は佐理に顔を向ける。
「そろそろ……イかせて欲しい、な」
そう言った途端佐理は俺の顔を蹴った。
後ろに仰け反る。
佐理は立ち上がり、俺を抱きしめ、自分の顎を俺の頭に置いた。
佐理のささやかな胸が俺の顔に当たる。
「聞いて」
優しい声で。
兄である俺が聞いたことのないような優しい声で。
「私の奴隷になるってことは、ユキは私のものになるってこと。私の所有物になるってこと」
「何でも私の言う通りにしなくちゃダメだし、逆らうことは許されない」
「もちろん私の許可無しには射精出来ないし、ユキから射精を乞うのもダメ。もちろん勝手なオナニーも禁止」
「ユキは、妹に好きなようにされて喜ぶ犬」
「その覚悟があるなら、いいよ。私の奴隷にしてあげる」
「分かった……?」
沈黙。
沈黙。
長い沈黙ののち。
俺は応答する。
「 はい 」
次の日。
学校帰り。
近所のデパートのペットショップに俺と佐理はいた。
動物特有のこの臭い。
あんまり好きな臭いではなかった。
ざっとまわりを見渡す。
平日の夕方なので人は少ない。
ケースに入れられたハムスターを、佐理は興味深そうに見つめていた。
ガラスにべったり顔を付けて。
うちはペットを飼ったことがなかった。
俺はショーウィンドウの陳列に沿いツカツカ歩く。
ウィンドウの中、一匹の子犬と目があった。
キャンキャンとやけに元気がいい。
ユキは妹に好きなようにされて喜ぶ犬。
昨日の佐理の言葉を思い出した。
妹に名前で呼ばれると言う体験。
犬。
妹の犬。
「お兄ちゃんのこと、実は前から気づいてはいたんだよ」
隣にはいつの間にか佐理がいて、俺はビクッとなる。
「私のものでコソコソやってたこと」
「えっ……?」
「まあ私の部屋であんなに堂々とやってたとは思わなかったけど」
「どうして分かった?」
「私の部屋はね、セロテープ」
「セロテープ?」
「タンスの開閉部に切れ目を入れて貼り付けておくの。で、いつの間にか完全に切れてたら私以外の誰かが開けたってこと」
「なる……」
ガムテープとか、セロテープとか。
「あ、ガムテープはいつもカバンに入れて持ち歩いてるからね」
「なんで?」
「お兄ちゃんを好きなときに拘束するため」
「…………」
手足も縛れるし目隠しにもなる。
万能だろうな。
新ジャンル、ガムテープ少女。
「あった」
と、佐理はワンコーナーを指差した。
商品棚に吊された、首輪。
カラフルにジャラジャラと。
佐理は手に膝を付き、商品の吟味を始めた。
「お兄ちゃんにはどれが似合うかな?」
佐理は適当に一つを取り、俺の首もとにあてがった。
やめろ。
怪しまれる。
まあ、そうなのだ。
本日わざわざペットショップに出向いた理由は、これ。
首輪を選ぶため。
何の首輪か。
「俺」の首輪だった。
決定。
赤い首輪にリードも付けて計3500円。
支払いは俺だった。
それは別にいいのだが、俺がレジに並ぶ間、佐理は犬用のコーナートイレやエサ入れも物色していたのは見なかったことにしておいた。
「帰りにアイスクリームでも食べてかない?」
ペットショップを出て、首輪の入った紙袋を提げた俺にそんなことを佐理は提案した。
俺は同意して方向転換しようしたとき、後ろから誰かを呼び止める明るい声が聞こえた。
「サリー!」
手を振りながら駆け込んできたのは俺たちの学校の制服を着た女の子。
魔法使いサリーをご存知だろうか。
サリーは魔法の国から人間界へ来た小学5年生の少女。
サリは佐理。
「ああ、アキ」
その子に佐理は朗らかに笑い返す。
「何してたの?」
と女の子。
「いや、ちょっと買い物かな」
と佐理。
「私も買い物」
と、買い物袋を女の子は胸の前に持ち上げた。
アキと呼ばれた子はやはり俺たちと同じ高校で、佐理と同じテニス部の二年生なのだそうだ。
「で、この人は……」
そう言ってアキは上目遣いに俺を窺う。
「あ、彼氏なんかじゃないよ。私のお兄ちゃん」
佐理は笑って言った。
「佐理の兄の由樹彦です」
と自己紹介をする。
俺の名前。
家族友人問わず俺のあだ名はユキで統一されている。
由樹彦のユキ。
「はじめまして、豊原亜季です」
快活に笑う佐理の友達。
「ユキかあ。なんだか姉妹みたいだね、サリとユキ」
「いや、俺は名字でいいよ」
「じゃあ葛原先輩?」
「そんな感じで」
葛原由樹彦と、葛原佐理。
「ところでその荷物はお使い?」
亜季が両手に提げた買い物袋を指で差す。
スーパーのロゴの入ったビニール袋から食料品が透けて見えた。
「あ、これは、晩ご飯は私がいつも作るから」
「親孝行だね」
「亜季ん家、親が共働きだから」
佐理が口を挟んだ。
「そう言う訳だから、食料も私が買わなきゃいけないの」
自慢げに、亜季は笑顔で言った。
佐理とはまた違うタイプ。
佐理は落ち着いていて大人びた面があるが、亜季は活発そうだった。
それに。
運動部らしい健康的な小麦色の肌と、
制服から透けたブラジャーをシャツの下から押し付ける大きな胸と、
ほっそりとした佐理とは違い全体的な肉付きの良さ。
妹にはないものだった。
豊原亜季。
アキ。あき。秋。
豊かな野原が亜ぐ季節。
いい名前だなあと。
ユキと言う女の子みたいな自分のあだ名を俺は憂う。
呼び名は大事だよ。
呼び名は。
妹はあのとき以来俺のことをユキとは呼ばないが、
俺は妹のことを「佐理様」と呼ぶように言いつけられた。
「これが習慣になればいいのに」
帰宅後、佐理の部屋。
俺が自分で制服を脱ぐのを見ながら佐理はぼそりと言った。
外はもう暗くなりかけていて、カーテンを閉め部屋の照明を付けている。
佐理は制服を着たままだった。
下着も脱いで、あっと言う間に俺は全裸になる。
佐理はペットショップの紙袋から今日買ったばかりの首輪を取り出し俺の首に巻く。
革製の、赤い首輪が俺に付けられた。
それを佐理はリードで繋ぐ。
繋いだリードの先は佐理が握った。
とりあえず満足そうな顔を浮かべる佐理。
「ちゃんと挨拶できるかな?」
佐理は笑う。
「佐理様、お願いします。僕をいじめてください」
全裸に首輪を付けたまま土下座して言った。
「じゃあ、ちんちん」
佐理のその言葉が犬芸のことを差しているのに気づくのにしばらくかかった。
すぐにM字開脚のポーズをとり床に手を置く。
腕の間から見える俺のモノは勃起を始めていた。
「お手」
佐理が右手を差し出し言った。
すぐに左手を佐理の手に乗せる。
「お代わり」
右手を佐理の手に乗せる。
「ふーん、立派なパピーだね」
そう言うと、佐理は俺の右手を掴みリードを引っ張った。
俺はバランスを崩して倒れた。
佐理は立ち上がり、紺ソックスを履いた足で俺の顔を踏みつける。
足の形に白く汚れた足の裏の、ザラリとした感触が頬に伝わる。
「飼い主に虐待されてるのに、反応がないのね」
鳴き声をしろと言う意味だと分かった。
「キャ、キャン!……」
真似たつもりだったけど。
今日のペットショップの子犬とは程遠い、情けない声を上げた。
恥ずかしい。
足で踏んづけられた俺を上から見た佐理は、意地悪そうに微笑んだ。
「楽しそうね。両足がいいのかしら?」
佐理はベッドに座りもう片方の足も俺の顔に乗せた。
足の裏の濃密な匂いが俺の鼻を刺激する。
顔の上を足先で撫でられる。
首輪が引っ張られ俺の体は起き上がる。
「舐めろ」
言われるがままに佐理の、短く折られたスカートの縁から伸びる太ももに舌を沿わした。
手入れの行き届いた、細くて色白な美脚。
汗の味がした。
そのまま顔を下ろして、ソックスを履いたままの臑、足首へと下を這わす。
佐理は舐めていない方の足を、俺の股間へと伸ばす。
すでに限界まで勃起していた陰茎へ。
佐理は舐めていた足から俺の顔を離させ、両足で俺のモノをいじり始めた。
紺ソックスで足コキ。
「出したらもう足でしてあげないよ?」
挑発的な物言いで。
佐理は足の裏で踏みつけるようにしてモノを刺激する。
俺は必死に射精を堪えていた。
泣きそうな顔をしながら、妹の言う通りにするために。
「おねだりはしないの?」
エサを欲しがる子犬のように。
「クゥーン……」
佐理はモノから足を離した。
「じゃあ疲れたしお風呂入ろっか」
立ち上がり部屋のドアを開ける。
佐理に従おうとついて行こうとする俺に、リードを引っ張りながら佐理は平然と言った。
「あ、お兄ちゃんは犬なんだから四つん這いで歩かなきゃダメだよ」
「…………」
「……返事は?」
「ワン!」
部屋から風呂場まで、廊下を地面に手をつきながら首輪を付けて渡る。
父親は仕事中で家にいないし、母親はキッチンで晩ご飯の支度中だった。
廊下の床はひんやりと冷たかった。
どうにか風呂場の脱衣場までたどり着く。
「ほら」
また足を差し出す佐理。
俺は差し出された足に履かれた佐理の紺ソックスを脱がし始めた。
真っ白なふくらはぎが露わになり、そして足の指が見える。
同時に広がるムラッとした湿気。
妹の匂い。
俺は佐理が一日中靴で過ごした足。
その生足を舐めた。
汗で少しネバネバした足。
佐理が強引に足先を俺の口の中に押し込できた。
俺は口を膨らませながらなんとか舐めきろうとする。
もう片足の足も、同じことをさせられ散々舐めさせられた。
「それじゃ、私も脱ぐね」
そう言って、佐理は制服のシャツのボタンを一つ一つ外し始めた。
ホックを外しスカートも下ろす。
下着姿になった佐理を、俺は見上げる。
佐理はブラジャーを外して俺に投げつけ、ショーツも脱いで足指にかけると俺の眼前に差し出した。
「これでオナってみる? 脱ぎたてだよ」
いたずらっぽい目を俺に向ける。
「冗談だよ」
ブラとショーツを自分の手に取ると佐理は洗濯機に放り投げた。
佐理のヌードを初めて見た。
妹とは言え17才の少女。
控えめの胸が妹の痩躯によく映える。
全裸になった佐理は俺に繋がれたリードを引っ張っり風呂場に誘い込む。
俺はまた四つん這いで風呂の床の上を歩いた。
風呂イスに座ると佐理は、
「じゃあここも綺麗にして貰おうかしら。今日汗かいちゃったしね」
俺に向き直り、控えめに股を開く。
俺は佐理の足元に近づいて、そっと太ももの間に顔を近づける。
控えめな仕草と裏腹に強い匂い。
それでも四つん這いから首を伸ばして佐理のあそこを舐める。
陰唇に舌を付けて上下させる。
佐理はしばらく俺の頭に手を乗せていたが、
「下手糞」
そう言うと俺の肩を蹴り飛ばした。
固い床にもろに背中をぶつけた。
その痛みも引かないうちに佐理は風呂桶に湯を溜めて俺の顔にバシャリとかけた。
鼻や口に入った水で咽せ込む。
「これでお兄ちゃんの顔、綺麗になったかな」
間髪入れず佐理は俺の顔の上に座り込んだ。
細身で華奢な妹。
しかし直接上に乗られるとちゃんとずっしり重い。
俺は両手で佐理の腰を支えながら、再びクンニリングスを開始した。
ぴったりと押しつけられたお尻で呼吸が苦しかったが、俺は舌を伸ばしてあそこを舐め続ける。
佐理はリードを上から引っ張り、さらに俺の顔と密着させようとする。
徐々に溢れてきた佐理の愛液で顔がグチョグチョになった。
「おしっこぉ」
突然佐理が言った。
「おしっこしたくなっちゃった。このまま出していいよね」
返事を待たずに俺の鼻を手でつまむと、佐理は俺の顔に放尿し始めた。
尿道から生温かい液体が溢れてくる。
首をリードで引っ張られ、顔を太ももで挟まれ、動かせないので佐理の小便を口で受け止めるしかなかった。
「飲まないと窒息死しちゃうよ?」
佐理は俺の鼻をつまんだまま言った。
その一言に俺の股間がビクッと反応してしまう。
俺は口満杯に溜まった小便をゴクリと大きく飲み込んだ。
尿道から直接飲み、空気に触れることなったのでアンモニア臭はあまりしなかった。
しかし苦くてしょっぱい一口。
空になった口でなんとか呼吸することができた。
それでもどんどん佐理は排尿してくる。
口から漏れ出して、顔全体が佐理の小便まみれになった。
息苦しくなりながらも二口目を飲み込む。
ゴクリ。
三口目、四口目……。
六、七口目のときに放尿が止まった。
佐理は指を鼻から離し、顔から降りる。
同時に強烈なアンモニア臭が俺の鼻腔を刺激した。
「マゾ犬から便器に降格だね」
そう言いながら、
「妹のおしっこ飲んでおちんちんこんなにさせちゃって」
亀頭を真っ赤にして我慢汁をたらたら出している俺のモノを素足で踏みつけた。
「でも上手にできたからご褒美あげる」
そのまま足で扱き始める。
ほんの数秒で、大量の精液を噴出して俺は果ててしまった。
佐理の足に付いた精液も俺の口で処理させられた。
こうして俺の奴隷生活は始まる。
妹より早く学校から帰ると、制服を脱いで首輪を自分で付けて全裸で妹の部屋で待機。
それが本当に習慣になった。
佐理の言う通り。
「これが習慣になればいいのに」
第2部
そして、テスト明けの、下級生には部活動が再開された日。
俺は佐理に今日は学校に残るように言われた。
「やあ、お待たせ」
と、靴箱で待っていた俺を呼びかける佐理。
「どこに行くの?」
「亜季ちゃん、覚えてるよね」
佐理は上履きから靴に履き替えながら言った。
佐理の背中を見ながら校内を歩き、たどり着いたのはテニス部の女子部室だった。
佐理はドアを開けて中に入る。
俺は周りを見渡した。
誰もいない。
俺も部室に入った。
部室には、いつかデパートで会った豊原亜季がいた。
亜季は既にテニスのユニフォームに着替えていて、薄い色のシャツ、半パンを着ていた。
「あ、葛原先輩!」
亜季は鏡に向かって髪の毛を後ろに束ねる仕草を辞め、俺に顔を向けた。
「なんでここに?」
今度は佐理に顔を向ける。
「亜季に見せたいものがあってね」
そう言うと佐理は俺に服を脱ぐように命じた。
ああ、妹のやりたいことが分かった。
俺はもう佐理の言いなりになっていたから。
俺は言われるままに服を脱ぐ。
制服のシャツのボタンを外して、ズボンの脱いだ。
「なにこれ?」
落書き。
俺の体にマジックで書かれた落書き。
奴隷犬、変態、便器、マゾ豚、もっと虐めてください。
そう書かれていた。
「なにこれ?」
同じことを繰り返す亜季。
その驚いたような表情に、口元が緩んでいるのが見えてしまった。
「お兄ちゃんはね」
佐理はローファーを履いた足で俺の裸の脇腹を蹴り押す。
俺は四つん這いになった。
「私の奴隷なんだよ」
体の落書きも佐理に書かれたものだった。
そして。
「いいなあ! 私も使っていい!?」
亜季は目を輝かせてそう言った。
亜季も、サディストだった。
佐理に促され、俺は部室を四つん這いで歩き亜季の足元に行く。
「じゃあ、私のローファーを舌で掃除したりできる?」
と、床に置いてあったローファーを指差す。
「外側をお願いね」
亜季は言う。
俺は、覆い被せるようにして顔をローファーにそばに寄せる。
土と埃っぽい外革の部分を舐めた。
ほとんど初対面の女の子の靴を、本人の目の前で全裸で舐めている。
それだけで興奮した。
「本当に何でも言うこと聞くんだね。じゃあこれはどうかな」
と。
亜季はペットボトルを手に取り、飲みかけのオレンジジュースをローファーに注いだ。
「ローファー痛んじゃうよ」
佐理が声をかける。
「いいよ、どうせこれ古いのだし。さ、飲んで」
亜季はオレンジジュースがたっぷりと注がれたローファーを差し出した。
中のオレンジ色の液体が、既に黒く濁っている。
俺は受け取り、飲んだ。
ゴックン。
皮独特の臭いと、足の蒸れた臭いがあとに残る。
佐理はその様子を眺めるだけだった。
完全に飲み干そうとしたそのとき。
部室のドアが開き、目の大きな、小柄な女の子が顔を覗かせた。
「先輩、準備ができ……ま……」
時が止まる。
部の一年生と思われる、その子が見た光景。
二人の女子の上級生と、その二人の足元で裸でローファーを口に付ける男。
ドン引き。
「…………」
その後輩は顔が真っ青になったと思えば真っ赤になった。
「す、すいませんでした!」
バタンとドアが閉められる。
「なんだ、せっかく面白いことやってたのに」
佐理は言った。
「まあハルちゃんたち待たせたらいけないし、お兄ちゃんで遊ぶのは部活が終わってからにしましょ」
それまでは、とバッグから例のガムテープを取り出した。
「この子がいたずらしちゃいけないから」
妹にこの子と言われた。
もうガムテープに抵抗はなくなっていた。
手足を拘束され、モノをむき出しにされる俺。
「口が寂しそうだね」
そう言うと、亜季はパンツを脱ぎ紙ナプキンを取り出す。
生理の血で赤黒くなったそれを俺の口に詰め込んだ。
すぐに生臭さが口に広がる。
そのまま俺の口はガムテープで封じられてしまった。
佐理もユニフォームに着替え、亜季とラケットを取り部室を出る。
「じゃあいい子にしててね」
ドアが閉められた。
部室の外から漏れてくる物音以外何も聞こえない。
佐理たちが脱いだ制服が、生々しくたたまれていた。
窓は開けられいるものの、風はなく部室の中は熱気がこもりじめじめと暑かった。
その湿気と、室内に置かれた化粧品、それと口の中の亜季のナプキンからの生理臭が俺の嗅覚を包容する。
ナプキンから血が染み出してきた。
それが唾液と混じる。
最初は口の中に溜めていたが、口が塞がれ吐き出せないので泣く泣く飲み込むしかなかった。
なんとかガムテープを剥がそうと身をよじる。
しかし俺の勃起した陰茎がぶらぶらするだけだった。
首を上げて自分の体を見た。
さっき亜季に油性マジックで新しく書かれた落書き。
テニス部専属奴隷ユキ。
三時間後、佐理と亜季は帰ってきた。
佐理はパイプイスに座り、テニスシューズを脱ぐと足を俺の顔に乗せてきた。
足の裏が黒く汚れたスニーカーソックス。
部活のあと、それもテニスの激しい運動のあとの、蒸れた臭い、湿り気。
もう鼻が麻痺しそうだった。
佐理は俺の口からガムテープを剥がすと中のナプキンを取り出した。
「喉乾いたでしょ?」
そう言って飲んでいたスポーツ飲料を口に含み、ペッと俺の口に流し込んだ。
俺は従順に飲み込む。
「こんなの勃起させちゃって、先輩って本当に佐理のことが好きなのね」
亜季は言いながら、さらにソックスを脱いで素足をまた俺の顔の上に乗せる。
汗でネットリとした足で亜季は顔面をいじり始めた。
足の指で鼻を摘む。
口をこじ開ける。
そのまま足を口にねじ込まれた。
「ちゃんと綺麗にしてね」
俺は指の間のゴミも含めて亜季の足を口舌で掃除した。
女子テニス部の奴隷となる日々となった。
毎日放課後に部室に閉じ込められ(面倒だからと言う理由で体を縛るのはガムテープからロープになった)、
部活が終わったあとの足掃除を口でやらされた。
玩具にさせられるときもあった。
体にマジックペンで的を書かれ、テニスボールを投げつけられた。
さらに四つん這いで口でそのボールを拾わされる。
首輪を付けられて犬扱い。
三年生はもう引退し、一年生は更衣室で着替えることになっている。
つまり部室を使うのは二年生だけなので、佐理と亜季の他に誰も来なかった。
「今日は泣くまでするからね」
その日も二人は俺をロープで全身を縛ったままのリンチになった。
部活終了後。
殴る蹴るを繰り返された。
立ち上がろうとしても足が動かせずうまくいかない。
やっと体を起こせられたら、テニスシューズを履いた足で蹴り倒された。
体中は真っ赤で、その痛みで涙が出てくる。
年下の女子にいじめられて、二人の前で泣いている。
「見て、泣いてるみたい」
手を止めて、亜季が言った。
佐理も手を止め俺に近寄り、手足のロープを解いた。
「よく頑張ったね。じゃあご褒美」
そうして、
テニスユニフォームを脱ぎ始める。
下着姿になる佐理。
「ほら、これでオナニーしていいよ」
そう言い、俺にユニフォームを投げつけた。
射精が許されたのは一週間ぶりだった。
俺は即ユニフォームを手にモノを扱き始めた。
汗でほのかに湿気ていて、女の子の匂いがする。
自慰をする俺をジロジロと眺める佐理と亜季。
亜季はすでに制服に着替えていたが、佐理は下着だけ。
今度は妹の匂いを嗅ぎながら、妹のすらりとした肢体を見ながらの射精だった。
「後始末はちゃんとやっといてね」
佐理はちゃっちゃと制服を着て、バッグを持って部室を出る。
それからの話だった。
俺は、豊原亜季に、告白された。
「あの、葛原先輩……」
自分の精液の処理を終え、部室で一人服を着ていた俺に、亜季から訪ねてきた。
部室の、ドアが開く。
亜季が立っていた。
「……っ?」
部活に入る亜季。
そう言えば二人きりになるのは初めてだった。
亜季は佐理と一緒に部屋を出たはずだった。
忘れ物だろうか?
「私、先輩のことが好きです」
「えっ?」
「良かったら、付き合ってください……!」
そう言い終えると、ぺこりと頭を下げる亜季。
後ろで結ばれた髪の毛が見えるほどに深く。
「…………」
唐突すぎて取るべきリアクションができない。
何が取るべきリアクションかも分からなかった。
ストレート過ぎるじゃないか。
これはただ俺をからかっているだけなのではないだろうか。
すぐに佐理がドッキリとか書かれたプラカードを持って、
てめーみてーなマゾ男が告白なんてされる訳ねーだろうがバーカとか言われるのではないだろうか。
だったらどう受け答えればいい。
「私、本気ですから。本気で先輩の彼女になりたいって考えてますから」
びっくりした。
亜季は真っ直ぐに俺の目を見た。
これを、演技だと思う方が失敬だと思った。
「いや、でもなんで……」
彼女。
考える。
佐理。
俺は佐理の犬。
テニス部の犬。
そもそもあんなことをしたりされたりしたあとで、彼氏彼女の関係になるなんておかしいじゃないか。
俺はもう十分すぎるほどカッコ悪い姿を見せているのに。
「私ね、部活を通してじゃなくて、もっと先輩に近づきたいの」
それはスポ根漫画で聞きたい台詞だ!
「でも、俺って彼女とか、そんな……」
できるものなら、欲しいが、この場合は。
「先輩じゃなきゃ、だめなの」
そう言って亜季は、制服のシャツに手を入れ後ろに回し、ブラジャーを外した。
ホックの外れたブラジャーがシャツの下からはさりと落ちた。
どうしてもEカップ以上を見込めそうな大きさのブラジャー。
白いシャツからははっきりと出っ張るものがあった。
「だから……」
さらに亜季はスカートの中に手を入れ、パンツも脱ぎ始めた。
足のところでクルクルと丸くなりそのまま床に脱ぎ捨てる。
亜季は、そして自分で自分を抱くような仕草をした。
今、こいつは制服の下は何も着ていない。
にわかに俺のモノが勃起するのを感じた。
脳内にいけない物質が放出され、心臓の鼓動が早くなる。
亜季はそのプロポーションを強調させるポーズで、言った。
「おねがいします」
だから、俺は「はい」とか言った気がする。
「おめでとう」
自転車置き場に行くと、まだ佐理が残っていた。
一緒に並んで歩く俺と亜季を見て、やったねとパチパチ拍手した。
「妹の便器から亜季の彼氏に昇格だね、お兄ちゃん」
次の日。
4時限目が終わり昼休み。
俺は昼飯を買いに行こうと財布を持ち席を立ったが、教室の前のドアに亜季が立っているのを発見した。
可愛らしい下級生が立っているので、他のクラスメイトたちの注意をそれなりに引いていたが、
亜季も俺を発見したらしく、
「あ、葛原先輩ー!」
と元気よく叫んだ。
一気にクラス中の注目の的となる亜季と、そしてお呼びのかかった俺。
俺は急いで亜季の元にかけつける。
「どうしたんだよ、急に」
「ってことで良いんですよね?」
ニッコリとして俺に言った。
「何が?」
「私たちが付き合ってるってこと」
ざわざわと、沸き立ち出すクラス。
俺は人から注目を集めることに慣れていなかった。
「あ、ああ。まあ」
「何ですか。その微妙な反応は」
怒ったように、上目遣いで俺を見た。
素直に言う。可愛い。
「今日はお弁当作って来たんですよ。先輩の分も」
そう言って亜季は手提げ袋を示した。
「一緒に食べません?」
とにかく、クラスの視線が痛いのでこの場から逃げ出そう。
「えっと、それならいいところがあるよ」
そう言って、亜季の背中を強引に押して、廊下に伴わせた。
連れてきたのは理科室。
幸運なことにと言うか残念なことにと言うか、俺たち以外に誰もいなかった。
狭い机と机の間を通り、適当なところにイスと置き腰を下ろす。
亜季も倣った。
「少しびっくりさせちゃいましたかね」
袋から弁当箱を取り出しながら、
「まあ、いきなりだもんな」
二つ弁当箱はあった。
「先輩のはこれですよ」
大きい方の弁当箱を手に取った。
亜季がふたを開けた。
「おお……」
普通に美味しそうだった。
ご飯が半分の面積を占め、おかずに卵焼きやタコさんウインナー。
「でもこっちの方がサプライズかもしれませんね」
そう言うと、亜季は立ち上がりスカートをめくった。
パンツが見えた。
昨日とは違う下着。
それを脱ぎ、亜季は弁当を股の下に付けた。
「もっと美味しくしてあげますね」
亜季は弁当に排尿した。
ジョーっと、黄色い液体を流し込む。
四角い箱に亜季の小便が溜まっていく。
絶句。
「はい、食べて」
と、おしっこ漬けになった弁当を差し出す。
「こっちの方が先輩好みでしょ」
理科室には俺たちの他に誰もいなかった。
俺は……
箸を取ると一心不乱にご飯を掻き込んだ。
亜季のおしっこ。
ぬるい塩っ辛い液体でご飯はもうお茶漬けだった。
弁当箱に口を付けた啜り込む。
ずずずずすず。
美味しい。
食欲が性欲にひっくり返った。
次に亜季の小便漬けになった卵焼きを口に放り込み、
亜季の小便漬けになったウインナーにかじりついた。
「ん……もう空か」
最後は弁当箱に溜まった小便を喉に流し込む。
ごくり。
「本当に食べてくれたんだ……嬉しい」
亜季はとろんとした目をして、それから言った。
「先輩、前にも話にあったんですけど、私の親、帰りが遅いんです」
俺に寄り添い、
「今日、私の家で晩ご飯も食べていきません?」
俺は、その誘いに二つ返事で返した。
『別にいいよ』
「え? 本当に?」
学校の終令後、俺は電話口にそう叫んだ。
今日は亜季と一緒に帰ると言う趣旨を伝えると、佐理は意外にもすんなり承諾した。
だって問題あり過ぎだろ。
亜季は部活をさぼることになるし、俺も佐理を裏切ることになりかねない。
奴隷契約。
『今日は私が一人で部活仕切るから。と言っても私が女子テニスの部長なんだけど』
「……ごめん」
そんな、詫びるようなことを俺は言う。
そもそも佐理の奴隷になりたいと言い出したのは俺の方だ。
なのに俺から今度はこんなことをするのは佐理を背くようなものではないのか。
誰かと付き合うとか、その彼女と遊ぶとか。
『私に後ろめたさとか感じてるの?』
「うん、ちょっと」
『お兄ちゃんは本当に素直だなあ』
携帯のスピーカーの向こうで、佐理はクスリと笑った。
『せっかく付き合ってるんだから、たくさん楽しみなさいな』
そんな会話を終えて、今俺は亜季の家にいる。
俺の家から案外近いところにあった。
走っても15分くらいだろうか。
「まずシャワー浴びましょ」
家に着いて早々亜季は言った。
人の家に行って、いきなり風呂場を使うのはいかがなものかと思った。
しかし本人の勧めだ、乗ることにした。
そうして、二人で服を脱いだ。
制服を脱ぐ亜季。
亜季の裸を、俺はマジマジと見てしまう。
ムチムチとした肉付きの良い体。
そしてどうしても亜季の胸に目が行ってしまう。
「何カップあるの?」
「Gですよ」
Gカップ!
風呂場に入り、俺は亜季のムッチリとした太ももにしがみつく。
ペロリと汗の付いた膝を舐めた。
「もう、今日はそんなことしなくていいんですよ?」
亜季はクスクス笑った。
「でも、まあ」
そう言うと俺をしゃがませ頭に跨った。
「じゃあ今日は体の方を便器に使ってあげますね」
亜季は俺の頭に放尿した。
髪の毛から首からに、肩から背中に。
顔と体中に生温かい液体がかかる。
小便臭さが上半身を覆った。
亜季もしゃがむと、フル勃起していた俺のモノにも小便をかけてくれた。
敏感になった陰茎に、亜季の体から出た液体がかけられる。
それだけで射精しそうだった。
「気持ち良かったですか?」
「じゃあ今度は私も気持ち良くしてくださいね」
亜季がシャワーを浴びる間、俺はずっと亜季のあそこを舐めていた。
風呂から出る。
亜季は制服を着直した。
「先輩はこれ着てください」
そう言って渡されたのは、体操服だった。
ただ、俺の学校指定の体操服ではない。
着古された、いわゆる芋ジャージって奴。
「私の中学のときの体操着ですよ」
エンジ色のラインの入った体操シャツに、エンジ色のハーフパンツ。
亜季のお古を俺が着る。
男子高校生には小さいそれを、俺は全裸の上から着た。
ピチピチ。
胸のところには「豊原」と刺繍があった。
「いいですね」
亜季と一体化した感じ。
そして、現在亜季は制服の上にエプロンを着て夕飯を作っている最中。
俺は亜季の中学校の体操服を着てキッチンで動く背中を眺めていた。
亜季の親は、本当に帰りが遅く、少なくとも夜の9時までは二人きりでいられるらしい。
そんな夕方5時。
自宅での夕食よりは少し早めだった。
「出来ましたよ」
お皿を直接持ち、俺のいる部屋まで亜季がやってくる。
パスタだった。
何故かお皿はひとつだけ。
「いいんですよ。これで二人前です」
カチャリと、机にお皿を置く。
隣に亜季が座った。
俺を見て何やら笑いかける。
「先輩、私のおっぱいばっかり見てるんだから」
「いや、そんな訳じゃ……」
図星だった。
「触りたいんでしょ?」
もっと図星。
「……うん」
やっぱり、と亜季は見透かしたような目をした。
「じゃあ、お願いしないと」
お願い?
「ママ、おっぱい欲しいよぉ、って」
「それは……」
「嫌ですか?」
こいつ……。
「マ、ママ、おっぱいが欲しいよぉ」
後輩に向かってそんなことを言わされる俺だった。
「声が小さくて聞こえないなあ」
「ママのおっぱいを飲ませてください!」
「ふふ、いいちゅよー」
そう言って、亜季はシャツを脱ぎ、ブラジャーをずり下ろした。
ポロンと、それは揺れた。
エプロンの右側から、バストを出す。
たわわなおっぱい。
Gカップ。
まさに豊乳。
俺は亜季の胸にしゃぶり付いた。
右のバストに吸い付き、左のバストを鷲掴みにする。
マシュマロ。
「んっ……、もう、この赤ちゃんは乱暴でちゅねー。ママのおっぱいおいしいでちゅか?」
亜季は俺の頭を撫でながら、微笑む。
俺は左手に伝わる弾力に浸りつつ突起してきた亜季の右乳首を吸い続けた。
舌を伸ばしたらそれだけ凹んでいく。
それだけ柔らかい胸だった。
「ご飯食べさせてあげちゅねー」
亜季はフォークを取り、パスタを口に含む。
首を傾げ、しばらく噛みこなすと、俺の口に吐き出した。
「おいちい? よくカミカミしてあげまちたからね」
亜季の口の中にあったパスタを、俺は口で受ける。
亜季の唾が染み込んでグチャグチャだった。
亜季の口の中で咀嚼され、ほとんど噛む必要のなくなったそれを俺は飲み込む。
亜季は、新たにパスタを口に頬張る。
それから数回、亜季に口移しでパスタを食べさせてもらった。
亜季の手が、俺のハーフパンツの中に忍び込んだ。
温かい手が俺の勃起したモノを掴む。
「あらあら、こんなに固くして。お仕置きしないとだめでちゅね」
亜季は俺を四つん這いにさせ、ハーフパンツをずらした。
すぐに何も着ていない下半身が露出する。
亜季は、平手で俺の尻を叩いた。
バチン、バチン。
そのまま、片手を回しモノを握り扱く。
「赤ちゃんなのにこんなにおっきくして……。エッチだね」
「ご、ごめんなさい」
「謝ってもダーメ。我慢するの」
手コキされながらスパンキングされ、もう絶頂寸前。
「ほら、お尻が真っ赤になってるよ?」
亜季がそう言ってきたところで、俺は我慢できずに果ててしまった。
四つん這いの姿勢のまま精液を床に撒き散らした。
「あーあ、お漏らししちゃったんだね。白いおしっこがいっぱい出てるよ」
「だ、だって…」
「次からはオムツを穿かせないとダメだね」
出した精液を俺が処理しているる間、亜季はふう、とエプロンを外し腰を下ろす。
お菓子でも食べよっか、と亜季はポテトチップスの袋を開けた。
俺は体操服姿のまま、清掃を終え亜季のところに戻った。
「はい、食べさせてあげますね」
そう言うと、亜季はポテトチップスを足の指の間に挟んで俺に差し出した。
俺はそれを足ごと口で受け取った。
亜季の足の親指が喉の奥まで入るのを感じる。
俺はまた勃起していた。
亜季に足でお菓子を与えられ、そのあとは油まみれになった足を舐めて綺麗にするよう命令された。
俺は亜季の足の指一本一本を時間をかけ舐める。
最高に幸せだった。
「おしっこのお代わり欲しい?」
亜季がふいに言った。
喉渇いたよね、と立ち上がって、スカートをめくりパンツを脱ぐ。
俺はすぐその場に座り込み口を開け顔を上げる。
「本当に便器みたいだね」
「はい、食べさせてあげますね」
そう言うと、亜季はポテトチップスを足の指の間に挟んで俺に差し出した。
俺はそれを足ごと口で受け取った。
亜季の足の親指が喉の奥まで入るのを感じる。
俺はまた勃起していた。
亜季に足でお菓子を与えられ、そのあとは油まみれになった足を舐めて綺麗にするよう命令された。
俺は亜季の足の指一本一本を時間をかけ舐める。
最高に幸せだった。
「おしっこのお代わり欲しい?」
亜季がふいに言った。
喉渇いたよね、と立ち上がって、スカートをめくりパンツを脱ぐ。
俺はすぐその場に座り込み口を開け顔を上げる。
「本当に便器みたいだね」
亜季はあそこを俺の口にあてがい、
「こぼしたら許さないからね」
そして、本日二度目の排尿をした。
チョロチョロと、小便が俺の口に入ってくる。
俺はこぼすまいとゴクゴク飲み込んだ。
パスタとで、さらにお腹が膨れて、完飲。
佐理のところにいるのとはまた違う感覚。
もう亜季に乗り換えてもいいかなとさえ、思ってしまった。
最高に幸せな気分。
では済まなかった。
亜季は小便を出し終わると、腰の位置を少しずらし、肛門を口の前に据えた。
かすかに震えている。
「…………!!」
俺が何かを言う暇もなく、
亜季は俺の顔に、
脱糞した。
亜季の肛門から大便がムリムリと出てくると、それは口の中へと落ちた。
すぐに強烈な臭いが鼻を突き刺す。
大便が口腔内に触れたところからありえないほどの苦味が伝わってくる。
「うげぇ……っ!」
俺はその場から体勢を崩し、床に倒れ込み、そこに亜季の大便を吐き出した。
亜季はびっくりしたように、
「なんで?」
そう言い俺の尻を蹴り飛ばし、
「私の体から出たものなのに食べられないの?」
服の襟を後ろから引っ張り、頭を俺が大便を吐いたところに落とした。
大便が顔に押し付けられる形となる。
さらにその上から亜季は足で体重をかけ頭を踏みつける。
「全部食べさせますからね」
それは冷酷な口調で。
やべ、まじで臭い。
命の危険を感じた。
「やだああああああああああああああああ!!」
俺は全力で亜季の足を押しのけた。
俺も本気を出せばそれぐらいできる。
亜季はバランスを崩し尻餅をついた。
俺は顔についた大便を手で拭き取る。
亜季はショックを受けた顔をしていた。
「…………」
「…………」
俺は逃げ出した。
逃げ出してしまった。
玄関から靴を履いただけ。
亜季の体操服のままで家を飛び出した。
自転車に乗ることも考えない。
いや、どうせ鍵は制服のポケットの中だ。
走って家まで帰った。
亜季の家から俺の家まで走りで15分程度。
どの道を通ったかも覚えていない。
ただ走った。
何も考えてはいけない。
何も考えれない。
何も考えない。
今度は自分の家の玄関で靴を脱ぐ。
揃えてあったローファーから佐理はもう帰ってきているようだった。
他の靴も見るに、家には佐理だけのようだ。
ホッとして。
俺は裸足で、ドンドンと廊下を渡る。
佐理はリビングでソファーに身を預けテレビを見ていた。
気怠そうに頬杖をついていたが、リビングに駆け込んだ俺の姿を見て目を丸くする。
「…………何?」
自分の格好を見る。
上下着丈の合わない体操服、少しだけ黒いものが付いていた。
自分の顔に触れる。
ザリザリしたものがこびりついていた。
俺はソファーの前に、膝を揃え座った。
そして亜季にされたことを話した。
亜季の大便を食べさせられようとしたことを。
その光景は、さながら女王に「只今戻りました」と帰還を告げる兵士のようだった。
「そう……」
佐理は、それだけ言って、立ち上がる。
それから正座したまま体中が大便だらけの俺の前に、同じように座った。
「そう、そうなの。だったら」
佐理は、平淡な声のまま。
「お兄ちゃん、私のうんちなら食べられる?」
亜季は俺の手を引き歩く。
エスコートするような握り方ではなく、爪を立て、乱暴に。
2年生の階の廊下だった。
その通路を、俺は亜季と歩いた。
亜季に連れられた。
他の2年生が、俺と言う見慣れない顔に訝しがる。
2年3組と書かれた表札の下、引き戸のドアを開ける。
そこが亜季の教室だった。
俺の手を握ったまま亜季は机と机の間を強引に突き進んだ。
ちょうど教室の真ん中、真ん中もド真ん中の席に亜季はどかりと座る。
誰のだか知らないが、俺はその隣の席に座った。
「昨日は逃げ出したってどう言うことですか?」
亜季は腕を組み、ふんぞり返る。
「ごめん……」
「謝るくらいなら、逃げなきゃ良かったのに」
そんな、性悪そうな表情を浮かべて、
「お仕置き、しなきゃね」
亜季は上履きを俺の前に差し出した。
「舐めて綺麗にしろ。休み時間が終わるまで」
亜季のその言葉に。
休み時間の教室を水を打ったように静まらせたその言葉に。
教室の中にばらばらといた人が、教室の外にした人が、
ギャラリーとなり俺と亜季の周りに輪を作る。
こうしているうちにどんどん下級生たちが集まってきた。
ざわざわ、ざわざわと、俺と亜季を好奇心の目で見ている。
「舐めろ」
亜季は繰り返した。
俺は、亜季の薄汚れた上履きを手で掴む。
そのまま口付けをした。
乾いた合成布の感覚を舌の表皮に感じる。
こんなので、綺麗になるはずがない。
これは見物だと、ギャラリーはどんどん集まってくる。
まあ休み時間だしなとか、そんな流暢なことは考えていられなかった。
2年生の半分が集まったんじゃないかと思えるほどの衆人環視の中、俺は恋人であるはずの、後輩の女子の上履きを口に頬張る。
何の味もしなかった。
ただ、ゴム臭しか覚えていない。
亜季は俺に足を延ばし、だだ睨むように、じっと俺を見ているだけだった。
俺を、囲む目、目、目、目、目。
そんなギャラリーの中心で、俺は休み時間が終わるまで上履きを舐めさせられ続けた。
「バッカじゃないの!?」
そう言いながら、佐理は持っていたシャーペンを問題集に突き刺した。
「もし今日2年3組の教室で女子の上履きをペロペロしてた上級生が葛原由樹彦だったって知られたら、私はこれからどう生きれば良かったの」
それから、シャーペンを持ち直し、佐理はスラスラと問題集の解答欄を埋めていく。
模範解答を見ながら。
「幸い、お兄ちゃんの顔は全学年に知られてなかったから良かったけど、昼休みに騒ぎになったときヒヤヒヤしたし」
佐理は俺を見た。
「あれ、あの人、サリちゃんの兄さんじゃないの? って」
実際、あれが俺だったってことは知れ渡ってないらしい。
あのあと、俺は保健室で5時限目を潰すことになったが、3年の階に戻ったときは何も言われなかったし奇異の目で見られることもなかった。
現代っ子の無関心さと飽きっぽさに感謝。
「でもなんであいつ、あそこまでするんだよ」
亜季は何を考えているのだろう。
あんなことをして、一番非難されるのは自分自身なのに。
「亜季ちゃんは本気だから」
素っ気なく、佐理は返した。
「どう御託を並べたところで、私たち、まだ高校生じゃない。まだまだ大人とはほど遠い、ただのガキ。
だから私たちにできることは限られてるし、私たちが何かをしようとしたところでそんなの大人たちの社会には全く関係ない」
ああ、この場合の私たちって私とお兄ちゃんのことだけど、と付け加え、
「亜季ちゃんは違う。あの子、いつでも本気だから」
そうして、佐理は問題集を閉じる。
「そろそろ、始めよっか」
時刻は深夜零時。
親は寝ている。
俺は、今日は食欲がないと嘘をつき晩飯を抜きにさせてもらっていたので腹の中は空っぽだった。
俺の分まで佐理はたらふく食べた。
まあ、今日多く食べたからってアレはアレにならないんだけど。
昨日はどうだったかな?
元々佐理は少食だし。
そう言う経緯を経て、現在、俺と佐理は風呂場にいる。
俺も佐理も全裸だった。
いや、正確には俺の手足はまたまたガムテープで固定されていた。
ベッタリとガッチリと、動けない。
風呂場の床に仰向けになって寝ている。
そうして、
佐理が俺の顔に跨った。
目の前に肛門が見える。
×。
「まずは舐めて気持ち良くさせて」
と、肛門を俺の口に移動させた。
俺は舌を伸ばして佐理の肛門を舐める。
少し苦い。
それから、数分が経つ。
「ん……。出そう」
催してきた、らしい。
俺は舌を離し、口を開け、身構える。
分かってやるならそんなに体が拒絶しないはずだ。
拒絶しないはずだ。
拒絶しないはずだ。
拒絶しないはずだ。
肛門がヒクヒク動きだし、わずかにガスが噴出された。
頑張れ。
佐理の大便だ。
佐理の大便だ。
佐理のうんこだ佐理のうんこだ佐理のうんこだ佐理のうんこうんこあーーーーーーーーーーっ!!
ムリムリと。
佐理の肛門から一気に出てきたそれは、垂直落下し俺の口の中に入る。
また、あの強烈な悪臭と苦みが俺を襲った。
早速嫌になってきた。
しかし今回は体を動かせないので逃げられない。
「んーっ、んーっ……」
俺は大便で塞がれた口から必死に声を上げる。
しかし、佐理は容赦なく俺の顔に排便を続けた。
まだ、ダメだ。
噛めない。
飲み込めない。
目からは涙が出てきた。
大便は口の中だけでなく顔の上にも乗っかった。
鼻の穴が佐理の大便で埋まる。
臭いでもげそうだった。
「……んん」
そこで、ようやく佐理は排便をし終える。
立ち上がり、浴槽のへりに座った。
俺を見下げる。
「お兄ちゃん、臭いよ。早くうんち食べて」
臭いのは……、お前の糞だろ……。
そんなことも言えない。
俺は泣きながら大便を咀嚼するしかなかった。
粘土のような食感。
噛めば噛むほどネチャネチャした感触が口腔内を包んだ。
それでも、なかなか、最初の一口に踏み出せない。
そうしているうちに、
「しょうがないなあ。手伝って上げるよ」
そう言うと、佐理は風呂場に入る前に持ち込んでいたサンダルを履き、俺の顔を踏みつけた。
口の中に無理やり大便が押し込まれる。
「…………ぅっ!」
体は拒絶反応を示しすぐに大便を押し戻そうとしていた。
しかしサンダルの底が口に蓋をして吐き出せない。
「食べるまで足どけないから」
佐理の冷たく言った。
一旦吐き気が収まる。
口の奥まで入り込んだ大便は、そのまま喉を通り、
ゴックン。
異物が食道を通る感覚がはっきりと分かる。
ついに一口目を飲み込んでしまった。
「本当に食べちゃったんだ、へーんたい」
口からサンダルがどけられた。
「お兄ちゃんたら、私のうんち食べておっきくさせて。変態さんにもほどがあるよ」
サンダルを履いた足で、佐理は俺のモノを軽く突きやる。
俺は妹の排泄物を食べて勃起していた。
「あれ? 二口目が進んでないね」
まだ大便を口に含んでいる俺に佐理は声をかける。
そしてまた俺の顔にしゃがみ込むと、
「じゃあ食べやすくしてあげる」
俺の口に放尿した。
「ん゛ーーーーーー!」
口の中で大便と小便が混ざりドロドロ状態になる。
口から溢れた小便が、顔を伝い鼻の穴に入ってきた。
顔中を犯される感覚に咽せ込んだ。
本当に、佐理の排泄物しか与えられなかった。
俺はその佐理の糞尿を、二口目をゴクリと飲み込む。
そこからは慣れだった。
ゆっくりと小便で柔らかくなった大便を噛み下し、飲み込む。
大便は少しずつ少なくなっていた。
その間中、佐理はサンダルで俺の顔を撫でまわした。
顔は大便と小便まみれになり、嗅覚はとっくに麻痺していた。
ゴクリ、と、最後の一口を食べ終わる。
もうほとんど顔面には大便は残っていなかった。
胃袋の中はパンパンで、その気持ち悪さで今にも吐き出しそうだった。
それにもかかわらず、佐理がサンダルでいじっているモノへの感触が快感で、
「ほら、私に言われた通りを言えば、これ、またイかせてあげるよ」
「ぼ、僕は佐理様の排泄物を食べて喜ぶ豚です。どうか汚い豚をもっといじめてください」
サンダルの底でモノを踏みつけられる、痛いような、気持ち良いような。
「本当に私のうんちだけでイっちゃったね」
大量の精液を吹き上げて俺はオルガスムスに達した。
「もうお兄ちゃんって人間以下の便器奴隷だよね」
最後に自分の肛門を俺に舐めさせながら、佐理は言った。
「お散歩、しようか」
風呂場から出た直後。
シャワーの水で口の中と顔を濯いでいた俺に、佐理は服を着ながら言った。
そのまま首輪を付けられる。
俺には着衣は許可されなかった。
リードを引き、佐理は玄関に行き新たなサンダルを履いた。
「散歩って……」
俺は言い淀む。
「そうだよ。お外でお散歩だよ」
そして、扉を開ける。
リードが引っ張られる。
俺は四つ足で歩くしかなかった。
扉の外。
夏が近い、虫の鳴く声がところどころで聞こえる。
膝と手のひらに、土の付いたコンクリートの肌触り。
履き物さえ許されず、
ついに全裸のまま外に出てしまった。
佐理に連れられ、深夜の空の下を二人で歩く。
少し蒸し暑い夜の、星の少なく空。
街灯が地面を照らす。
いつも歩いている道を、地上50センチの視点から見る。
佐理はリードを持ち、俺は首輪を付けられ道路を這う。
俺の顔の横で、微光を反射する佐理の色白な足が動いていた。
本当に飼い犬になったようだった。
深夜とは言っても公共の道、誰が通るか分からない。
堂々としたものだ、と。
そう思った。
「どこに行くか、分かるよね」
ふいに佐理は言う。
それは、進む道順から大体分かった。
「豊原の、家?」
「そうだよ」
「…………」
「おしっこ、したいんじゃないの?」
佐理は立ち止まった。
そして電柱を指差す。
「お風呂場出る前に、そう言ってたじゃない。ここでしちゃいなさいよ」
ほら、犬みたいに、片足を上げてさ、と言った。
これは屈辱だった。
しかし従う以外に選択肢はないのだろう。
俺は言われるがまま、四つん這いで電柱の側まで進む。
それから、片足を上げて、
排尿。
全裸で地面に手をつけながら尿をする感覚が奇妙だった。
電柱にかかり跳ね返った小便が、太ももに当たる。
自分の小便は不潔に感じた。
佐理はその様子をジッと眺めている。
佐理に本当に犬としか扱われていないような気がして、怖くなり、それでも、それでも勃起してしまった。
俺は一体どうなってしまうのだろうか。
亜季の家に到着してからも、そんなことを考える。
夜の1時近く。
もちろん門灯も付いていない。
しかし、佐理に連れられ玄関の前で歩いた途端に扉が開いた。
「あ、待った?」
開いた扉の隙間から人の顔が覗いた。
亜季だった。
「ごめんね。こんな夜中に」
佐理は言う。
「いいよ、全然。それで……」
亜季は佐理の足元を見た。
俺と目が合った。
思わず、たじろぐ。
「ちゃーんと、うんちも食べられるようにしたからね」
少し自慢気にそう言って、佐理はリードの取っ手を亜季に手渡した。
俺から、一歩下がる。
「あとは亜季の好きにしていいよ」
平気でそんなことを言って、
「じゃあ、そうするね」
亜季はそう返した。
佐理は踵を返し、俺を置いて帰ろうする。
「じゃあね、お兄ちゃん」
亜季はリードを持ち、笑いかけた。
「いっぱい泣こうね。ユキ」
そこから俺はまた風呂場に連れていかれた。
昨日の今日なのに。
本日二度目の食糞だった。
激しい吐き気を伴う大便の食感。
佐理と亜季との大便で、腹はパンパンだった。
「本当によく頑張ったね」
と、亜季は俺を褒めた。
俺に口と体を洗うように言い、完了すると自分のあそこを舐めさせた。
裸のまま、今度は亜季の部屋に連れていかれる。
亜季も全裸だった。
「布団の中で出したらお仕置きだからね」
と、俺をベッドの中に引き込む。
布団の中で亜季に抱きしめられた。
肉付きのいい体が俺に押し付けられる。
顔が亜季の胸に挟まれる、陰茎が亜季の太ももに挟まれる。
また、勃起するのを感じながら、午前3時、俺は眠りに就いた。
翌日は目覚めるといつの間にか両手が縛られていた。
周りを見回す。
まだ亜季の部屋だった。
首輪のリードはベッドにくくりつけられていた。
監禁、されている。
日射しが強い。
朝……?
部屋の時計を見る。
午後1時過ぎ、今日はまだ水曜日。
学校はある。
しかし学校に行こうにも身動きが取れないし、制服もなかった。
亜季は一人で勝手に起きて学校に行ったのだろうか。
なぜ?
俺は休んだ方がいいと思ったのだろうか。
それとも「もう行く必要がない」と思ったのだろうか。
不安がよぎった。
誰か欠席届してくれたなかあ、と要らない心配が浮かぶ。
「……おぇっ!」
急に吐き気が俺を襲った。
俺は動かせる限界まで首を伸ばす。
幸いにもベッドの近くにゴミ箱があった。
真上に口を開けるゴミ箱の底めがけ、一気に吐瀉した。
出したゲロは黒っぽい茶色をしていた。
吐瀉物から酸臭が漂う。
俺はベッドに仰向けになった。
目をつぶる。
部屋の中も外も物音はしない。
ただ、チックチックと時計の秒針の回る音。
そう言えば、この家は共働きだったな。
だったら、両手さえ自由になったらすぐ逃げることができるけど。
もう、逃げ出そうとかする、気力がなかった。
約5時間後、亜季は帰ってきた。
「ただいまー。大人しくしてたみたいだね。ん、うぇ、くっさ!」
俺がゴミ箱に吐いたものを亜季は発見する。
「もう、ダメじゃない、餌を戻したら」
餌……と今言ったか?
亜季は手の拘束は解かれたが、首輪は付けられたままだった。
亜季は椅子に座り勉強を始める。
その間、ずっと足を舐めさせられた。
1時間ほど経っただろうか。もう舌は痺れてうまく動かなくなっていた。
「食事にしようか」
しばらくして亜季は言った。
下着を脱いで、下半身を露出させる。
また、糞尿を与えられた。
部屋の中で直接だった。
俺は大きく口を開ける。
この動作が当たり前になってきているのが嫌だった。
零れた分は、床を舐めて処理させられた。
今回も、何とか喉を通すことができた。
「もう室内便所って感じだね、ユキは」
亜季にそう言われた。
胃の中は空っぽのはずなのに、空腹を感じていたはずなのに、体は糞便を口に戻そうとする。
体が危険なものだと知ってるんだな、と妙な感心をした。
排泄を終えた亜季の肛門を綺麗にさせられた後、俺はようやく帰宅を許可された。
今思い出した。
学校の制服も、自転車も亜季の家に置いたままだった。
何時間ぶりだろうと思いつつ、俺は制服を着る。
やっと解放された。
身を包み込む布の肌触りが心強く感じた。
丸一日、全裸で過ごしていたことになる。
昨日から排泄物しか口にしてなかった。
亜季の親の帰る前に早く家を出よう。
中身が一昨日のままのカバンを持ち、自転車にまたがる。
ペダルを押す足が、震えていた。
帰路でまた吐き出した。
黒いゲロがアスファルトに落ちる。
寄り道したコンビニで買ったおにぎりが、やっとまともな食事だった。
午後10時。
帰宅。
親は俺が家出したと思っていたらしく、母親にいきなり叱られた。
家に着いた安堵感からか何を言われたかはほとんど覚えていない。
記憶を辿るなら学校にも連絡が入っていなかったらしく、家に電話がかかったらしい。
晩飯は既に片付けあり、俺の分はなかった。
佐理と話をする気にもなれず、自分で風呂に入り身を清めるとその日はそのまま寝てしまった。
そして翌朝。
清潔な体で起床し、清潔な制服を着る。
いつも通り佐理は俺より早く家を出ていた。
俺も登校する。
自転車で通学路を走り、授業が始まる前に職員室に寄り、担任に前日の無断欠席を詫びた。
そこで俺の意識は途切れた。
目が覚めるとベッドに横たわっていた。
今後は手足が縛られている訳ではないようだ。
目を開けると、無機質な天井が見えた。
ベッドを囲むようにしてカーテンが吊されていた。
病院……とまずは思ったが、すぐにここは保健室だと悟った。
以前にも保健室にはお世話になっていたからだ。
趣味の悪い花柄の毛布、高さの合わない固い枕、
それと、
佐理が猫のように俺の腹の上に乗っかっていた。
別に猫に腹に乗られた経験はないけど。
「おはよう」
佐理は俺の寝起きに気づくと、顔を俺に近づけてきた。
垂らした長い髪の先が俺の顎を撫でる。
こんな状況でも勃起している自分にいい加減呆れた。
「お兄ちゃん、今朝、突然倒れたんだよ。1時間目が終わったあと、先生が知らせてくれて……」
「……今何時だ?」
「お昼休みだよ。授業終わったらすぐ来てあげたんだから」
「……ありがとう」
割と本心だった。
「ところでまずくないか? カーテンがあるからってその体勢は」
「大丈夫だよ。4時間目の体育で怪我をした生徒がいるらしくて、保健室の先生はそっちに行ってる」
今、保健室には私とお兄ちゃんしかいないからと、佐理がそう言ったかと思えば保健室のドアが開き、何人か分の足音が入ってきた。
小声ではあるが、話の内容は聞き取れる。
その怪我をした生徒が連れて来られたらしく、養護教諭がもう一つのベッドに寝かしつけているようだ。
ガーーッと、カーテンを引く音。
それからスリッパが床をこする音が、次は俺と佐理のいるベッドまでやって来た。
「葛原さん? まだいるの?」
カーテン越しに、養護教諭は呼びかける。
カーテンをめくられないかとヒヤヒヤした。
「あ、はい」
佐理が返事した。
「お兄さんは?」
「まだ寝てるみたいです。……あの、もう少しいてもいいですか?」
そんなやり取りを、佐理は俺の馬乗りしたまま平然とこなした。
別にいいけど。いい妹さんだねと、スリッパの音が移動した。
やがてドアが開閉する音がして、また保健室は静かになった。
「大変だったみたいだね」
「そんなにひどいのか、隣の奴」
右隣のベッドで、寝息も立てずに寝ている生徒が気になった。
「じゃなくて、お兄ちゃんの昨日のことだよ」
「…………」
私のうんちなら食べられるかと言う問いに、イエスと答えたのは自分だった。
だからって丸一日全裸で監禁されるとは聞いていない。
無言の俺に佐理は笑いかけた。
俺の胸板に手の平を乗せ、腰の位置を後ろにずらす。
勃起した俺の股間部に気づいてるはずだが、無視された。
ちょうど騎乗位のような形になる。
そして、佐理は、言った。
「これ、あのときとはポジションが逆だね、お兄ちゃん」
これまで安定していた心臓の鼓動が一気に大きく、ドックンと脈打った。
その心臓が送り出した氷のように冷たい血液が俺の全身を駆け巡る。
それにもかかわらず、額からは汗が噴き出した。
それはこの一週間のどんな出来事よりも強い一撃だった。
やっぱり――。
「やっぱり、それだったのか」
俺の言葉に、佐理はただ微笑んで返した。
感づいてはいた。
いや、それ以外には有り得なかった。
でも、なら、
「どうして……?」
「どうして?」
佐理の表情が急に険しくなる。
「これは、お兄ちゃんへの復讐だから」
そう続けた。
そうか、やはり佐理、お前は、強いな。
俺は、二年ぶりにそう感じた。
2年前。
正確には1年半前。
春だった。
俺は高校で1年生でも2年生でもない微妙な時期。
佐理は俺と同じ高校に合格し、中学生でも高校生でもないもっと微妙な時期。
俺は、佐理に告白した。
――佐理のことが好きだ。
――好きって言うのは妹としてじゃなく異性として好きなんだ。
――だから佐理と付き合いたい。
――恋人同士になりたい。
親は法事で、その夜は家に二人きりだった。
その日、朝から言おう言おうと思い、しかし言えず、やっと口に出せたのが日が沈んでからだった。
それは真剣な思いだった。
真剣に佐理のことを考えていた。
と思う。
案外、高校で他の奴らがどんどん女とくっ付き、行為に及んでいたからかもしれない。
焦っていたからかもしれない。
俺と佐理は昔から仲が良かった。
でも、ふいに、異性として見た佐理が可愛くて可愛くて。
俺は恋に落ちた。
――でも、私たちって、兄妹じゃん。
――でも、嬉しい。そんなこと言ってもらえて。
――でも、付き合うとか、無理だよ。
――ごめんね。
――お兄ちゃん?
――お兄ちゃん、顔、怖いよ。
――やめて! 離して!
――やめて、嫌だよ、こんなの
――痛い、痛いよ、お兄ちゃん
――お兄ちゃん……
膣からは、出血していた。
その晩以来、俺と佐理の間に会話は無くなった。
最初の一週間、佐理は食事のとき以外は自分の部屋にこもりっきりだった。
食事のときも、伏し目がちで俺と目を合わせなかった。
両親は不審がっていたが、自分たちが不在のときに喧嘩でもしたんだろうと、何も言わなかった。
喧嘩。
そんなもんなら、俺と佐理は何度もやってる。
何度もやって、仲直りもし慣れてる。
今回の仲直りの方法を、俺は知らなかった。
俺は死にそうだった。
むしろ俺みたいなうんこ野郎はさっさと自殺した方が妹のためには良かった。
心配だった。
俺のせいで佐理が引きこもりになったら。
学校にも行かなかったら。
学校が始まる前から、不登校になったら。
せっかくの高校生なのに。
新しい制服も、新しい教科書も揃えたのに。
その全てを、俺が駄目にしたら。
不安だった。
俺のせいで佐理の人生が台無しになったら。
ぶち壊しになったら。
激しい後悔と、自分にできることが分からないジレンマ。
俺はこの取り返しのつかない行為にどんな責任を負えばいいのか。
佐理の言うことなら何でも聞く。
たとえそれがどんなものでも。
いっそ妹に死ねと言われたら。
そうしたら、俺はすぐに喜んで手首を切って自殺するのに。
しかし、そんな一週間後、佐理は部屋から出てきた。
復活した。
俺の高校の制服を着て、入学式に臨む佐理は、それは、天使のようだった。
たった一週間。
たったの一週間で、佐理がつけた心の整理が、どんなものかを俺は分からない。
あの佐理の凛々しい表情の下に、どんな思いが渦巻いているか、俺は分からない。
分からないが、佐理が強い人間であることは分かった。
それだけは分かった。
なんて強い。
本当にそう思う。
ただあれから、佐理は少し変わった。
もともと騒がしいタイプではなかったけれど、
どこか落ち着いた、そんな子になった。
いつも冷めた目で世界を見据えるようになった。
俺の心配をよそに佐理は頑健に高校生活を始めた。
それは何の問題もなく、二年生に兄など持っていないかのように。
二年生からは、部活の部長にもなった。
そうか。
このとき俺はやっと理解した。
思い知った。
俺に償えることは何もないと。
俺が何もしなくても、佐理は大人になっていく。
そこに俺の付け入る隙は1mmもない。
むしろ俺は佐理にもう関わらない方がいい。
それが俺にできるたった一つのこと。
佐理の恋人になろうなどと思い上がりも甚だしい。
俺はそれからは佐理に関わらないように生きてきた。
関わらないようにして。
だからこそ、高校生になり色気づいていく佐理はより魅力的に見えてしまった。
そしてある日、俺は佐理の下着に、手を伸ばした。
あの春休み以来、俺と佐理は必要最低限のこと以外は全く口を聞いていなかった。
親から見れば、長い長い喧嘩。
俺と佐理が二年ぶりに対話と言うものをすることになるのは今から数週間前、佐理が、自分の下着でマスターベーションに耽っている俺を捕らえたときだ。
「あのときから、お前はずっと……」
「うん、これは私のお兄ちゃんへの、復讐」
時間軸は現在。
場所は保健室のカーテンに囲まれた空間。
「最初はお兄ちゃんのこと、ちょっとおちょくってやるだけで良かったのに、
奴隷にしてくださいとか言い出して、そのうち本当にうんちまで食べ出すんだから。バッカじゃないの!?」
「じゃあ……亜季は……」
「ああ、言ったでしょ、あの子は本気だって。いくら私とお兄ちゃんがミストレスと奴隷役を演じても、それはあくまでプレイだよ。
でも亜季ちゃんったらいっつも私に言ってたもん、男の人を奴隷にしたい奴隷にしたいって。真性なんだよ。だからお兄ちゃんいけるかなあってやって見たら、大ハマリ! あははは、あーっはっはっは!」
唇を大きく開け、大笑いする佐理。
佐理、それがお前のそのしおらしい顔の下に隠していた、お前の本性なのか?
「なによ、その顔は? このスカトロマニア、公衆便所。うんちの食い過ぎで卒倒するとか本当に家畜並みのオツムね。人間やめたら?」
「…………」
「言っとくけど、これは終わらないからね。亜季ちゃんの彼氏なんでしょ? お兄ちゃんから望んだ結果なんだから。ずっと亜季のど・れ・い」
「佐理はどうなるんだよ」
「私はもう一抜け。あのとき、首輪の綱を亜季ちゃんに渡したじゃない。お兄ちゃんはもう亜季専属の奴隷なのよ」
一昨年、佐理がリードを亜季に手渡す回想が頭をよぎった。
お兄ちゃんは私の目的通り便器奴隷になっちゃったし、と佐理はしめた。
「そんな、そんなの! だって、俺は佐理が……!」
「私が?」
俺には、この先を言う権利がないことを思い出した。
「…………」
黙り込む俺に、佐理は見くびるように下目使いになった。
それからひょいと足を上げ、俺から飛び降りる。
床に着地し、飛び跳ねるようにカーテンの外側へ姿を消した。
さらにカーテンの隙間から顔だけ出すと言うパフォーマンスを終え、
「亜季ちゃんからは逃げられないと思うよ」
そう言い残し、保健室を去って行った。
はぁ……、と溜息を漏らし、軽くなった腹にもの寂しさを感じながら寝返りを打つ。
亜季に従属することが、俺の佐理にできる償いなのだろうか。
毎日、食事として糞尿を強制的に食らうことが。
だとしたら、俺はその通りにするしかないのだろうか。
俺はいつか死ぬんじゃないか。
!?
また、カーテンの隙間から顔が覗いていた。
額に白いガーゼを付けた、本校指定の体操服を着た女の子。
どこかで見たような。
女の子は言った。
「あの……」
そして次の日。
金曜日。
俺の人生史上最も長く過酷な一週間が終わうとしている。
放課後に俺は亜季に呼び出された。
場所は体育館裏。
すごく嫌な予感がするけど、授業が終わったあと、俺は一人でそこに向かった。
うわ。
ざっと見て20人近くがいた。
よく覚えてないけど、たぶん亜季のクラスの連中、女子の寄せ集めだった。
体育館裏の、開けたところ、ちょうど広場のような場所に全員集まっていた。
団体の真ん中に亜季を見つけた。
「よく来たね」
亜季が言う。
俺は団体に近づいた。
名も知らない女子たちが俺の背中を押す。
俺は亜季の目の前まで連れて来られた。
全員が俺と亜季を中心に輪を作った。
20人の女子で構成される輪。
亜季の足元には跳び箱の一番上の段が並べられいた。
倉庫から引っ張り出したらしい。
「なにするか……分かる?」
亜季は聞く。
「分かんない。でも、亜季にされることなら何でも受け止めるよ」
それが佐理への償いなら。
周りのギャラリーがヒューヒューとはやし立てた。
「じゃあ、ここに寝て。うつ伏せでね」
と薄汚れた白い布の張られた跳び箱を亜季は指差す。
俺は言われた通りにした。
跳び箱の上で膝を曲げ、腹を乗せる。
顎も乗せた。
こっち、見ちゃだめよと亜季の声がした。
俺はそのままの姿勢でいたが、
「もういいよ」
振り向く。
「…………」
亜季から陰茎が生えていた。
まあそれはスカートを脱ぎペニスバンドを装着していただけなのだけど、その毒々しくピンク色の男性のシンボルをかたどったその物体に俺は尻込みする。
ちくしょう、俺より大きいじゃねえか。
「私なら何もされてもいいんでしょ、なら」
制服のシャツの下に本格的なSM装備をした少女は、言った。
「アナルを私に犯させてちょうだい」
ギャラリーの歓声が聞こえた。
そう言うが早いが亜季は俺にズボンを脱ぐことを強制する。
しかし俺はなかなか脱ぐ決心がつかない。
ダメだ。アナルは、アナルだけはダメだ。
>>1がアナルだけは無理だからこれまで描写して来なかったのに!
亜季、お前はその禁断の領域にまで踏み込もうと言うのか!
豊原亜季の暴走。
俺がもたもたしている間に周りの歓声は野次に変わっていく。
俺は決心した。
ベルトに手をかけ外す。
ズボンとパンツを一気にずり下ろした。
何十人の前で、下半身を晒す俺。
うわああと女子たちの反応が耳に届いた。
はっきりと聞こえてしまった。
毛むくじゃら~。
亜季は、自分の指に潤滑油をかけ、俺に近づいた。
「さて、まずはどこまで入るかな」
と、俺のアナルに指をあてがう。
もうダメだ。
逃げ出したい。
なんでこの女は俺の体に異物を入れるのが好きなのか。
真性なのか。変態なのか。哲学なのか。
ダメだ。
亜季の指先が俺のアナルをまさぐっている。
一本の指が、アナルに触れる。
入ってくる。
入って、入って――。
「ぁ、ああぁあぁぁ……」
その感覚に、俺は悲鳴にもならない声を漏らす。
大便が逆流するような感覚。
どんどん奥まで入ってくる。
「結構いけるじゃない。二本入るかな」
それから、もう一本が入ってくる感覚が加わる。
と言うことは、人差し指と中指だろうか。
指二本をアナルに出したり入れたりされる。
目からは涙が溢れ出ていた。
「アナル初体験で、泣いちゃうほど喜んでるよ」
俺を取り囲む誰かが言った。
「じゃあこのままアナル童貞卒業しちゃおうか!」
亜季はそう言って指を俺のアナルから引き抜く。
もう少しヒリヒリとし始めた。
亜季は、自分の股のペニスに潤滑油をかける。
ピンクの男根がテカテカと光る。
亜季は俺の背中に両手を付いた。
「いっぱい広げてあげるね」
俺はもう身構えるしかなかった。
呼吸を整え、目をつぶる。
何か固いものが、俺のアナルに当たる。
そして、ゆっくりと、ゆっくりと、それは入っていく。
太い。
指の比じゃない。
初回でいきなりこんなものを突っ込む
「なあああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ!!!!」
挿入されたペニスが俺の直腸内を圧迫する。
痛い。
快感なんてものとはほど遠いかった。
こんなもので気持ち良くなれるはずがない。
いや、亜季の調教でこれも快感になるのか?
俺は成人前にしてアナル拡張をされてしまうのか?
「ストーーーーップ」
と、体育館裏に突然大きな声が響いた。
ギャラリーが静まり返る。
亜季はその場で固まる。
そしてこちらに向かってくる人物に驚愕して、立ち上がった。
ペニスバンドも俺のアナルから抜け、事なきを得た。
「はいはいちょっとどけてどけてー」
そう言って、人ごみの中をかき分けて輪の中心に入ってきたのは、佐理だった。
そのまま歩き、俺の真ん前で仁王立ちする。
「良かった。ギリギリ間に合ったみたいだね」
「…………」
全然間に合ってねえよ。
俺は佐理が出てきた方向を見た。
額にガーゼを当てた女の子が、こっちを見ていた。
そうか、うまくやったのか。
彼女の名前はハル。
昨日の保健室で俺に話しかけてきた女の子であり、いつの日やらに佐理と亜季とで全裸でいた俺を目撃したテニス部1年生だった。
本当に偶然だった。
あの日部室にいた俺を目撃して以来、ハルは俺のことを気にかけていたらしい。
なぜ俺があんなことをしていたのか。
なぜ俺があんなことをさせられていたのか。
先輩に直接聞く訳にも行かず、部室に忍び込む訳にも行かず。
そんな中だった。
ハルは体育の授業中に怪我をした。
チームに分かれたバレーボールの試合中、不幸にもボールが勢いよく顔面にあたり、
額を切った。
傷自体はそんな深刻なものではなかったが。
ハルは午後からは保健室で安静にしておくように養護教諭に言われた。
そこで俺と佐理のあの会話を聞いたらしい。
俺の過ち。
佐理の復讐。
全てが、繋がったそうだ。
ハルは俺を救おうと思ったらしい。
俺に味方しようと思ったらしい。
だから、佐理が保健室を出たあと、自分のベッドを抜け出し俺のベッドのカーテンを開いた。
額にガーゼを当てたその格好で。
俺に話を聞かせて欲しいと言った。
自分からも先輩に頼むから、と。
佐理先輩は、後輩には甘いから、と。
俺は、佐理に謝りたいと言った。
2年前に佐理にしたことを。
ずっと言えなかった言葉を、言わないといけないと。
佐理は、あのとき泣いていた。
俺に腕を押さえつけられ、女子の非力では抵抗できるはずもなく、ただ、泣いていたのだ。
「まあ、可愛い後輩の頼みとなったらしょうがないわよ」
下半身を丸出しにして肛門を晒す兄に、佐理は言う。
「私に言いたいこと、あるんでしょ」
俺は、ヒリヒリするアナルを無視し立ち上がり、
それから。
佐理に土下座した。
今度はミストレスと奴隷役のプレイでも何でもない。
俺の本心からの、本気で本気の土下座だった。
「ごめんなさい!」
俺は、はっきりと言った。
「俺、佐理にとんでもないことした。どうしていいのか分からなかった。ずっと、ずっとあのことを考えてた」
「俺、もう、佐理の前からいなくなった方がいいよな。最低だよな、こんな兄貴。お前を襲って、何の責任もとらないで、お前のものでオナニー始めて、仕舞いにはこんな姿みんなに晒して……」
「……全く、本当だよ」
佐理は、俺に言葉を返した。
「私のお兄ちゃんが変態だって、みんなに知られちゃったじゃないの。私、これからどうすればいいの?」
「ごめん……」
再びの沈黙だった。
「でも、いいよ、許してあげる。お兄ちゃんからその言葉が聞けて、良かった。まあ、2年前にすぐにそんなこと言われても私は許さなかったと思うけど」
私の処女は、高いのよと、ここで佐理は初めて笑った。
「それに、お兄ちゃんもう一生分の恥をかいたようなものでしょ。そっちの童貞も奪われちゃったみたいだし」
と、露出したままの俺の股関を見る。
俺は急いでズボンを履いた。
本当に、最低の兄だよな。
佐理は続ける。
「と言う訳で、私のお兄ちゃんへの復讐はこれでおしまい。私はもう満足だけど、お兄ちゃんはこれでいいの?」
亜季のことを言っているんだと分かった。
1年半かけてじわじわと、そしてこの数週間で完全に壊れた俺の日常が戻っていく。
俺と佐理の日常が、修復されていく。
俺も、その仕上げをしなければならない。
俺は亜季に向かい合う。
「亜季。俺のこと、好きか?」
亜季は戸惑うことなく、
「うん、大好き。ユキほど逸品なマゾ男は他にいないよ」
「そうか。俺はお前が大嫌いだ。お前と付き合っていたと言う事実を思うだけで虫酸が走る」
それから。
「俺たち、別れよう」
俺と佐理の仲直りの最後の清算。
俺は、亜季を振った。
さようなら、亜季。
いいサド女だったぜ。
豊原亜季と言う女性が非常にプライドの高い女だと知ったのは不覚にもそれからだった。
亜季の顔は見る見る真っ赤になり、やがて怒りで煮えたぎり始めた。
佐理が俺の手を取った。
「逃げよ!」
佐理は俺と一緒に走り出した。
「捕まえろーー!」
と、亜季も20人の女子を連れて俺たちを後を追う。
一斉に走り出した。
俺と佐理を、ハルは笑顔で見送った。
体育館を周り、グラウンドに出る。
振り返ると俺たちの後ろ、通路からワラワラと大人数が押し出ていた。
そこからさらに校門を出ても、どこまでも追いかけてくる。
いつも歩き慣れた道を全力で駆け抜けた。
ケツがまだ痛かったが、全く問題にならない。
亜季たちの軍団に追われながら、俺は思う。
今なら、もっと俺の素直な気持ちを、一番言いたい気持ちを言えるのではないか、と。
俺の本当に言いたいこと。
ずっと思っていたこと。
変な言葉で飾ることもなく、ありのまま言える。
走りながら、俺は叫ぶ。
「佐理ー! お前が好きだー!」
佐理は、走りながらも俺を振り返った。
長い髪が風に揺れる。
それから、とびっきりの無邪気な笑顔で、佐理は答えた。
「ありがとう」
佐理となら、どこまでも逃げていけそうだった。
FIN
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